我が家のキッチンには、おばあが棲んでいる

投稿日：2019年7月24日

こんにちは。南の島、沖縄で木造二世帯住宅を建築したみかんです。
家を建てたことをきっかけに「家づくりアドバイザー」「整理収納アドバイザー」として活動を始めた私ですが、ご存知の通り木造の家が大好きです。
何故、そんなにも木造住宅が好きなのか。

それは、戦後すぐに建てられた木造住宅で祖父と祖母に育てられたことに起因します。
ハッキリ言って私はおばあっ子、おじいっ子です。祖父と祖母から多大な影響も受け、今の私の性格が形成されたと言っても過言ではありません。昔育った家での思い出が多すぎて、あの頃が幸せで（勿論今も幸せですが）、そして木の家でのくらしが快適なことを身をもって知っていたので、私は木の家に強いあこがれを持つようになったんです。

家の話しがひと段落を迎えた今後は、お片付けの話しが多くなると思います。
お片付けの話をしていく前に、私が片付けを意識した最初の記憶を書きたいと思います。
何故なら片付け（の意識づけ）についても、木造の家同様、祖母の影響を強く受けているからです。

私は小学生の頃、訳あって母と離れ祖父母の家で育ちました。祖母は極度のキレイ好きでした。祖母の一日の家事はキッチン磨きで終わります。一時間ほどかけてキッチン周りを片付けて掃除をし、最後はクレンザーでコンロ磨き。私はキッチンを磨く祖母の後ろ姿を見て育ちました。戦後すぐに建てられた築ウン十年になる木造住宅なのに、キッチンだけはいつもピカピカ。
あまりにもキレイなキッチンを見て育った私ですが、それが当たり前でないことに気づいたのは、高校生の頃。

その頃には祖父母の家を出て、母と近くのアパートに住んでいましたが、学校帰りに祖父母の家に寄った時、祖母が嬉しそうに話すのです。

「今日ガス屋さんが点検に来てたよ。何十年もこの仕事してるけど、こんなキレイなキッチンは初めて見たと言われたよ。そう褒められておばあは嬉しかったさあ」
と、少女のように頬を染めて喜んでました。

そこで私は初めて祖母のキッチンがピカピカなことに気づいたのです。油汚れも黒ずみもなく、ガス管まわりのベタベタも一切ない、ステンレスのシルバーが目に眩しいほどピカピカのキッチン。キッチン周りはキレイに整理整頓されており、高校生の私が見ても完璧なキッチンでした。

片付けって素晴らしい。そしてそれは当たり前でなく、人が努力して行動した上での結果であることを初めて意識した瞬間でした。

そんな祖母が亡くなり十数年が経ちます。
私の一日の家事は、キッチン磨きで終わります。去年建てた家なので、まだキッチンはピカピカ。私はキッチンを片付け、シンクを磨きながら祖母を想います。祖母の後ろ姿、祖母との会話。
普段はズボラな私ですが、キッチン周りを片付け、シンクを磨く時だけは祖母のようにピカピカになるまでキレイにします。

おばあ、今日もキッチンはピカピカだよ。
このキレイがいつまでも続きますように。

そう願いながら、心の中のおばあと一緒にキッチンを磨きます。
私にとって片付けの原点は、そんな祖母との思い出にあります。

あなたにも思い入れの深い場所はありますか？
その場所、片付けてみませんか。

あばあのキッチン